ピロリ菌検査・除菌治療

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)とは

ピロリ菌とはピロリ菌とは、強酸の胃液にさらさている胃の表層を覆う「胃粘膜」に住みつく細菌です。ピロリ菌に感染したまま放置することで、慢性的な炎症を引き起こします。その結果、萎縮性胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がん・過形成性ポリープ・胃MALTリンパ腫などの重篤な疾患に進行するとされています。
特に胃がんに関しては、約9割以上がピロリ菌感染が原因と指摘されています。ピロリ菌は、1週間の除菌治療によって多くの場合除去できます。これまでに胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、突発性血小板減少性紫斑病などに対して、ピロリ菌の除菌治療が有効と分かっています。

衛生環境が感染率を左右する

日本における若年層のピロリ菌感染者数は減少傾向にありますが、40歳以上になると感染率は高くなります。先進国では、感染率が低い傾向ですが、上下水道が完備されていないような衛生環境が悪い国では依然感染率が高いとされています。
経口感染があると分かっていても、いまだ明解な感染経路や予防方法は分かっていません。ただし、免疫力が低い乳幼児期はピロリ菌に感染しやすいことが分かっています。

ピロリ菌感染検査とは

ピロリ菌感染検査には、内視鏡を使う検査と使わない検査があります。慢性的な胃炎がある場合には、ピロリ菌感染の可能性があります。たとえ感染していても無症状なことが多いため、なかなか分からないことがあります。自覚症状がなく、健康診断などで慢性胃炎と診断された場合は、健康診断結果を持参のうえ専門の医療機関を受診してください。

内視鏡を使う検査

迅速ウレアーゼ法

内視鏡で胃粘膜を採取し、ピロリ菌が持っているウレアーゼという酵素を検出する検査です。ウレアーゼは、胃の中の尿素を分解し、アンモニアと二酸化炭素を生成します。そのため、採取した粘膜のアンモニアに反応する試薬を用いて検査を実施します。反応液の色の変化によって、ピロリ菌の有無を調べます。

組織鏡検法

採取した胃粘膜に特殊な染色をして、ピロリ菌を顕微鏡で探す組織診断方法です。

内視鏡を使わない検査

抗体検査

尿や血液を採取し、細菌感染した際に作られる抗体の有無を調べます。

便中抗原検査

便を採取し、菌の構成成分の抗原の有無を調べます。

尿素呼気試験法

精度の高い診断法で主流の検査のひとつです。ピロリ菌がもつウレアーゼという酵素で検査薬が分解され、ピロリ菌に感染している場合、検査薬に含まれていた特別な炭素(化学記号でC)が無害な二酸化炭素(CO2)として呼気中に検出されます。これを応用した検査で、検査薬を服用前後の呼気(はく息)を集めて診断します。

ピロリ菌感染検査と保険適用

ピロリ菌の感染検査や除菌治療を保険適用で行う場合には、いくつかの条件を満たす必要があります。条件は以下の通りです。

  • 内視鏡検査で、早期胃がんやピロリ菌が原因の萎縮性胃炎、または胃炎と診断された方
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療を受けている、または以前に受けていた方
  • 胃MALTリンパ腫、突発性血小板減少性紫斑病がある方

ピロリ菌の除菌治療の方法

除菌治療は、2種類の抗菌薬と、その作用を高める胃酸分泌抑制薬を朝と晩の2回を1週間ほど服用します。薬を服用後約6~8週間後に、除菌成功判定を行います尿素呼気試験法で診断します。1次除菌治療で、除菌失敗した場合は、除菌剤を1種類変更して2次除菌を行います。

除菌治療薬の副作用

副作用として、主に肝機能数値の変動・AST(GOT)・ALT(GPT)、軟便、下痢、味覚異常などがあげられます。これらの症状は、服用後にはほとんど治りますが、除菌が進んでから胃が正常になるにつれて、一時的な逆流性食道炎のような胸やけや呑酸(どんさん:のどや口の中が酸っぱく感じること)などの症状が現れることがあります。このように、除菌治療薬による副作用の症状がある場合は、早めに相談してください。

また、発疹や痒みなどのアレルギー反応が起こった場合は、治療薬の服用を中止し、なるべく早く医師に相談してください。中止により、治療薬に耐性(治療抵抗性)をもつピロリ菌が発生する場合があるためです。

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