摂食嚥下(嚥下障害)

摂食嚥下とは

摂食嚥下とは日本人の死因別の死亡率(人口10万対)では、肺炎は、癌、心臓病、についで、第3位で増加傾向にあります。
また、肺炎による死亡者の中で65歳以上の高齢者が占める割合は97.3%と高率であります(我が国の人口動態、平成27年までの動向、平成29年厚生労働省)。

高齢者では肺炎の原因として誤嚥の関与(誤嚥性肺炎)が高率で、70歳以上の肺炎入院患者のうち80.1%に誤嚥が認められ、特に寝たきりの高齢者ではその頻度はさらに高いとされております(Teramoto S, et al : J Am Geriatr Soc 56 : 577-579, 2008)。
食べ物や水分(唾液も含まれます)は、本来、口腔から咽頭を喉頭に入らずうまく通過して、食道を経て胃に送り込まれます。食べ物や水分、唾液が、誤って喉頭から気管に入ってしまう状態を誤嚥といい、摂食嚥下機能の低下で起こります。加齢にともなう摂食嚥下機能低下は、すでに症状があっても自覚されていない場合が多く見受けられます。

摂食嚥下診療について

当院の摂食嚥下診療は、この誤嚥(誤嚥性肺炎)を予防することを目的に、摂食嚥下機能を評価(嚥下造影や嚥下内視鏡で診断)し、患者様個別の嚥下訓練(治療)を提供することを目的としています。

摂食嚥下診療は特殊なため、関連病院である東船橋病院の言語聴覚士を含めた多職種で行っております。
訓練法は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会作成の「訓練法のまとめ(2014版)」(日摂食嚥下リハ会誌 18(1):55-89、2014)に従い提供しております。

訓練内容や患者様の習得度などによって、入院で習得していただく必要がある場合には、関連施設の東船橋病院にて、短期のクリパス入院のシステムも完備しております。
※誤嚥性肺炎を発症している患者様や状態が不良で入院加療が必要な患者様は、関連施設の東船橋病院にて嚥下外来(予定はお知らせを参照してください)を行っておりますので、そちらを受診して下さい(その場合は、必ず当院に連絡下さい。院長が対応して受診調整を致しますので、宜しくお願い致します)。

摂食嚥下機能が低下している場合の症状とは

誤嚥予防を目的に嚥下診療を行っている施設は総合病院も含めてほとんどないのが現状です。また、「誤嚥」や「誤嚥性肺炎」は多くの方はご存知でしょうが、「嚥下」や「嚥下障害」は認知度が低いのが実際のところです。

そのために、加齢とともに知らず知らずのうちに嚥下障害(嚥下機能の低下)が進み、誤嚥してから気付く、あるいは、診断されるという経過がほとんどです。日本摂食嚥下リハビリテーション学会が作成した「摂食・嚥下障害の質問票」は、嚥下機能の低下を自己診断するうえで有用ですので参考にして下さい(左記の「摂食・嚥下障害の質問票」をクリックすると表示することができます)。

また、ご高齢者で感冒様の症状が持続している方(感冒薬で改善するが止めると再び症状が現れる)に嚥下造影を行うと、ほとんどの方に嚥下障害がみられます。「摂食・嚥下障害の質問票」による自己診断で嚥下障害が疑われる場合や感冒様の症状が持続している場合には、当院を受診されることをおすすめします。

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