粉瘤について
皮膚の下部に嚢胞という袋状の病変ができ、そこに老廃物(古い角質や皮脂など)が溜まっている状態を粉瘤と言います。アテロームとも呼ばれ、良性腫瘍の一種です。 粉瘤は、自然治癒することはないので、手術で治療を行っていきます。局所麻酔を行い、右図の開口部も含めて皮膚を切開してから、嚢胞ごと取り除く摘出手術をします。
化膿性粉瘤とは
粉瘤に細菌が侵入して炎症を起こした状態を、化膿性粉瘤と言います。症状は、患部が赤く腫れあがり、痛みを生じます。治療方法は、まず炎症を落ち着かせることが第一です。炎症が落ち着いた段階で嚢胞ごと取り除く摘出手術を行いますが、手術前に「抗生物質の投与」と「切開排膿」の2つの方法があります。
炎症がそんなに酷くない場合には、「抗生物質の投与(内服)」を行い、炎症が酷い場合には、局所麻酔をし、皮膚を小さく切開して膿を外に出す「切開排膿」によって、炎症を落ち着かせます。
脂肪腫とは
脂肪組織からなる、皮膚にできる良性の腫瘍を脂肪腫と言います。明確な原因が分かっていません。脂肪腫は放置したままにしておくと大きくなることがあり、手術療法以外に治療法がありません。脂肪腫自体は良性ですが、外見では区別できない「脂肪肉腫」という脂肪組織からなる悪性な腫瘍のこともあり、この違いを診断するには、切除した腫瘍を顕微鏡で調べる組織診断が最も確実です。脂肪腫ができる部位やその大きさにもよりますが、周囲への癒着・固定などを認めることが多く、局所麻酔だけでは摘出が難しく、静脈麻酔や吸入麻酔などを行って摘出手術を行う場合も多くあります。この場合は総合病院に紹介となります。
粉瘤(アテローム)の治療方法とは
粉瘤が小さい場合は、患部の局所麻酔で腫瘍摘出術を行います。できるだけ傷口を小さくするため、嚢胞を丁寧に取り除きます。
粉瘤が大きい場合は、切開排膿を行ったあと、可能な限り嚢胞の壁を掻把します。再度膿が溜まらない(再発しない)ように清潔にしていきます。また、切開排膿後、炎症がおさまってから、嚢胞ごと摘出するという二期的手術の方法もあり、症例ごとに選択されます。
粉瘤ができる部位やその大きさによって、局所麻酔だけではなく、静脈麻酔や吸入麻酔などを併用して摘出手術を行います。この場合は総合病院に紹介となります。
手術後の痛みについて
手術後の痛みは、ほとんどの場合が抗生剤と痛み止めでコントロールが可能です。
通院について
摘出手術後、1~3日以内に通院していただき、その10日後に再度傷口を確認して特に問題がなければ治療完了です。ただし、粉瘤が大きい場合は経過観察が必要で、通院回数がその分多くなります。術後は、傷口を清潔に保つために、ご自宅で患部を洗っていただく必要があります。
治療費について
粉瘤・脂肪腫の手術は保険適用となります。また、粉瘤や脂肪腫の大きさや治療個所、麻酔の方法によって治療費が異なります。
露出している部分の粉瘤
粉瘤の大きさ | 3割負担 |
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2cm未満 | 5,310~5,910円 |
2~4cm未満 | 11,340~11,940円 |
4cm以上 | 13,410~14,010円 |
※病理検査やエコー検査によって料金が変動します
露出していない部分の粉瘤
粉瘤の大きさ | 3割負担 |
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3cm未満 | 4,170~4,780円 |
3~6cm未満 | 10,020~10,630円 |
6cm以上 | 12,810~13,420円 |
※病理検査やエコー検査によって料金が変動します